しかしここではその限りではなかった、十一時半に、と言ったら大体その前後、三十分から一時間は待たされるのが普通であり、それ以外にもカルチャーショックは山ほどあったのだ。
再びロマリオを例にとると通常、アルコールを摂取した後の〆には(何故か)甘いものを食べるのが習わしであり、そのお隣のシャルルと言う国ではまだ仕事があるにも関わらずにお昼からワインを嗜んじゃうという、我々日本人から見ればもはややりたい放題の感覚である。
ついでにもう一つ、言っておくと殺し合いをしたいとき以外では、決してイタリア人やフランス人の目の前で、その人のワインを侮辱してはならない、なぜならそれは彼らにとっては英語のファッキン、中国語のニャンガツォピィに当たる、最大級の宣戦布告状であり憎しみの言葉だからだ。
「・・・・・」
(困ったな・・・)
「あの、もし」
そのまま小一時間が過ぎて流石の留火もいい加減、うんざりしていると突然、後ろから声を掛けられて振り返る。
するとそこには見事なストレートロングの金髪を風に揺らした可愛らしい少女が立っていたのだが一瞬、留火は(もしかして真白か!?)と思ってしまった、背丈や顔は全然違うのだが何となく雰囲気が似ていたためである。