(留火、会いたい・・・)
寮に戻ってもだから、その事ばかり考えて逡巡してしまうが彼は飛び切りのいい男になっていた、ほんのちょっと見ただけであったが体つきは恐ろしい程にガッシリとしていて声は太く低くなり、身のこなしにスキがない。
雰囲気も落ち着いていて軽く、それでいてしっかりと地に足が付いているような感覚を受けるが問題はその顔だ、幾分幼いころの面影は残ってはいるものの彼のそれはどこか内向的でおとなしく、とても武術の家柄に生まれたとは思えないほどに端正だったのだ、だけど。
真白はそんな留火の顔が大好きだった、一見頼りなさそうに見えてその実、怒った時や本気になった時には物凄く精悍な面持ちになることを、この幼馴染の少女は誰よりもよく知っていた。