そのままその首元に、自身の“ソード”であるレイピア“チェチェリアーノ”を突き付けるがその瞬間、彼の姿は消えていた、ナナミの後ろに回り込み、護身用にと持ち込んでいた木刀を構えたのだ。
「・・・・・」
「テヤアァァァァッ!!」
その流れる様な体捌きと素早さに、予想以上の手練れであると、ナナミは瞬時に理解するもののしかし、流石はレガリアスの一人である、すぐさま体勢を立て直すと同時に次の攻撃への動作に入るが彼女達の使う剣術には、幾つかの型があった、攻撃に特化した“ヤクト”、防御重視の“セレナ”、バランスの取れた近代型剣術“ルジェロ”、そして回転と刺突を軸とした、高機動型の“メリアヴェッラ”等など。
その内でナナミが使うのは“アル・ヴェロ”と言う古流剣術の一つであり、一説には創始したのはかのウルスラであるとも言われているのだが、ルジェロとメリアヴェッラの良いとこどりして一つにまとめたようなこの剣術は習得が難しく、今までに熟達者、“マイスター”の称号に至った者は十指に満たない。