ちなみに。
アーシェがスミレの元へとやって来るのはこれが初めてではなかった、今回で五回目なのだが最初の時も動機、状況共に全く同じで当時十歳になったばかりのアーシェは“異世界ってどんな所なのだろう”、“自分の力は通用するのか?”と言う興味を抑えきれずに術を発動、ちょうどお風呂に入ろうとしていたスミレの元へと転がり落ちたのだ。
「あ、怪しくないから。たまたまだからっ!!」
突如として現れた不審な人物に明らかに警戒して身構えるスミレに、アーシェは必死に説明した、自分が異世界人であることやここに来た目的、人様に危害を加える気はない、と言う事などを。
「よその世界の人、なの?」
「そう、そう。そうなんだ!!」
当時まだ六歳になったばかりのスミレはしかし、プ○キュア等のメルヘンチックなアニメの影響もあってそれほど混乱する事も無く、意外にすんなりとその事実を受け入れるがそこにはもう一つ、別の理由もあった、彼女もまた“世良木流”と呼ばれる古武術の家元に生まれ付いており、厳しい鍛錬の傍らで異世界についての話を父や兄達から聞かされていたのだ。