正哉「どうしてそんなに避けるの?僕…何か悪い事とかした?」
正哉は泣きそうな表情で鈴奈に問掛けてくる。ただでさえ男子と話した事の無い鈴奈には、今にでも息がかかりそうな距離と男と二人だけの空間に置かれて焦らずにはいられなかった。
鈴奈「あっ…そのっ…悪い事とかぢゃ無くてっ…」
目をギュッと閉じ、顔を真っ赤にながら必死に声を出した。
正哉「じゃなくて?」
正哉が繰り返す。
鈴奈「男の子…苦手…で…」
鈴奈の口から出た言葉を聞いた瞬間に正哉の顔付きが無表情へと変わった。先程までとは全く違う低くて芯のある大人びた声が鈴奈の耳に入ってきた。
正哉「そんな理由で今まで俺と話さなかったのか」
鈴奈は怖くて動けない。目のふちに溜った涙が今にでも溢れ落ちそうになっていた。『怖いょ…なんなの?』鈴奈の頭の中にはその考えがグルグルと巡っていた。そんな事をしている間にも正哉はどんどん近づいてゆき、椅子の上で壁に寄りかかりながら小さく縮こまっている鈴奈の上に覆い被さる形になっていた。
正哉「納得いかない…その辺の男と同じ扱いしないでくれる?」
そう言うと正哉は鈴奈の右手首を掴み上げて窓の手摺へと縛った。