私(優)は同僚の木村が気になっていた。4つ年上でバツイチ。職場ではお互い憎まれ口を叩き合っているけど、初めてあいつを見たときから妙に惹かれていた。でも今更告白なんて柄でもなくこのまま兄弟の様な関係なんだと諦めていた。
そんなある日、私は病気で入院することになり、契約更新時期と重なったこともあり会社を辞めることになった。
キムラ「お前辞めるのか?そんなに重い病気なの?」
相変わらずの調子だ。
ワタシ「あんたねぇ…人が結構落ち込んでるのにそのテンションで話しかけないでよ…」
キムラ「はははっ!悪い悪い。ま、俺の事思い出しながら乗り切ってくれ!」
それが職場での最後のやりとりだった。しばらく治療に専念する日が続き、ようやくアパートに戻ることができた。そうだ、あいつに電話してみよう…無性に声が聞きたかった。
キムラ「はぁい…もしもし。」
ワタシ「やっほ!無事に帰ってきたぞ。キムラ元気してた?」
キムラ「おぉ〜っ!ユウか!お前もう大丈夫なのか?心配してたんだぞ!」
何だかいつもと違って優しい。まぁ、病み上がり相手なら当然だが。久々のあいつの声に胸が締め付けられた。
ワタシ「木村…逢いたい…」