アサミはうつむいて、時々上目遣いにボクを見る。
「…勘違いしたら…どうすんのよ…」
「え?」
アサミが切ない目でボクを責める。「そんなこと言って…本当に好きになっちゃったら…どうすんのよ…」
なしくずしで、今アサミを抱いてしまいたい。この白い肌…きらきらした瞳…花びらみたいな唇…なんて可愛らしいんだ…
「来ない方が…良かった…余計わかんなくなってきた…」
「…オレ…付き合おうって女の子がいるんだ」「…」
「でも…なんか吹っ切れなくて」
「そっちの人にすれば?」
「…」
「その方がいいよ」
「お前は今の彼と?」「…仕方ないじゃん」「でも…やだ」
アサミはボクの指先にそっと触れた。ボクは胸の奥が熱い。心臓が喉まで持ち上がったみたいに、ひどい動悸がしている。
指先を絡めた。なんでこんな気持ちになるのかわからない。
ボクが見つめるのにアサミは目を合わせようとしない。
アサミの携帯にメールが入った。いつもなら一瞥してすぐに元に戻るのに、今日は返事を返し始めた。
「誰?」
「…」
「…」
「…また来るよ…」
アサミは立ち上がって玄関に向かった。
誰なんだ…なんで答えない…