ボクの知らないアサミ…ホテルで今ごろ…アサミの白い首筋にまとわりつく男の影が、何度もボクの頭の中でリピートする。ボクに見せたあの切ない表情で、相手を見つめているんだろうか…あぁ…あの柔らかい肌を撫でる男の手が…気が狂いそうだ。
思えばその時はもう10時…アサミが来るはずないのに、メールしたボクがバカだった…
『今、向かってる…起きてる?』
時計は11時過ぎだった…明日は日曜日。もっと夜を楽しんでいるかと思ったボクは、意外なメールに戸惑いながら、返信した。
アサミが顔を見せたのは12時前だった。
ボクもアサミも視線を交わす事なく、コーヒーを飲み、代わる代わる小さな溜め息をもらした。
「彼と…一晩過ごすのかと思った…」
「私だって…ここは今晩愛の巣になると思ったよ」
お互いに、少し恨みがましい視線を交わし、それでいてバツが悪かった。
ボクはこの雰囲気から抜け出したくなった。「シたのか?」
アサミは最初ギョッとした顔を見せたが、開き直った。
「…シたよ…」
「もう何度も?」
アサミは少し怒ったような顔でボクを見つめた。
「そうよ。もう数え切れないほどシたわ。」