「…んせ…か…せ」
『神谷先生っ!』
ハッ!
「なっ…何!?」
亜紀は慌てて顔を上げる。
「もぅっ!先生寝てたのぉ〜?(笑)頭痛いんで寝かして下さいってば!」
「あぁっ、はいはい。どうぞ。」
神谷亜紀(かみやあき)は24歳の高校の保健医である。一年前からこの桜ヶ丘高校で働いている。
しまった…寝ちゃってたなぁ。最近寝不足だからかなぁ。今日は早く寝よっ!
亜紀は窓の外を眺めながらアンパンをかじる。
モグモグ…
その時…
『きゃああっ!宮野くんっ〜!こっち向いてぇ〜』
甲高い歓声が、校内に響いた。
「…ん゛ん…先生ぇ何があったの?う…るさいなぁっ」
先程の女生徒も起きてしまうほどだった。
「あ゛ぁー。多分宮野由宇君の事だと思うよ?いいから寝ときなさい。」
「はぁーい。全く居心地良く寝てたのに起きちゃった!なんでウチみたいな平凡校にトップアイドルがいるんだろぉ↓寝よ寝よっ」
そう。2―Bの宮野由宇君は、今大人気のトップアイドルなのだ。スラリとした長身と、完璧に整った顔。しかもスポーツ万能、成績優秀だもんな。そのせいで桜ヶ丘高校の女生徒は急激にUP↑。休憩時間には騒がしくなったのだった。
「酒井さん、寝た?先生ジュース買ってくるからちょっと寝ててね。」
ガラガラ…ピシャン。廊下―\r
『あっ、亜紀ちゃん今日もご飯アンパンだったでしょお(笑)アンコついてるよ〜♪』
「あっ!?ぅ…うわヤダ最悪!ゴシゴシ。って言うか先生をちゃん呼ばわりしないのっ!中林さんっ!こらっ!」亜紀が生徒を追いかける。
「亜紀チャンカワイー☆…きゃあっ」
生徒が人にぶつかり、後ろに倒れる。
ドンッ!!
「中林さん大丈夫?」『うっ…痛ぁ。誰よぉ〜っ!?』
二人で上を見上げる。そこには…
「ぶつかったのはそっちだろっ。」
あの宮野由宇だったのだ。