高校生の癖に、中学生と変わらないような容貌。その癖、しっかり着込んだ制服は地味な紺色のスカートとカッターシャツであるにもかかわらず、肉付きのいい身体のラインが強調されている。
幼い顔に似合わない身体。
そして、眼鏡をかけているその表情はアンバランスで、気をつけていないと、どこの誰にかっさわれるかわからない。
と、俺はいつもひやひやしている。
千歳は年下で、中途半端に悪ぶっていて、今も昼出勤のご様子。
自分は俺の後輩だから、と、いつもどこか俺と一線を引いているような気がする。
それは、“深い関係”になっても変わらなかった。
「…また喧嘩したんですか?」
「あ?なんだって?」
小さい声で、呟かれた声は耳に聞こえたけれど、あえて聞こえなかった振りをした。
千歳はとてとてと俺に近づいてきて、
「喧嘩は、駄目ですよッ!!」
制服の袖をつかみ、今度は聞き逃さないような声で、そう言われた。
「なんで俺が、遅刻ばっかしてるお前の言うこと聞かなきゃいけねぇんだ」
俺はそっぽを向く。