誰もいない廊下が目に入った。
授業中だからか、微かにもれる授業の声以外音はしない。
静かだ。
「遅刻ばっかしてませんよ。今日はたまたまです!」
そう言って、眉根を寄せるクリスは可愛くて、抱きしめてしまいたくなる。
「とにかく!喧嘩はしちゃ駄目ですよ。じゃ、先輩も早く教室に戻ってくださいよ」
またこうやって、“先輩と後輩”という言葉で一線を引かれるのかと思うとうんざりした。
俺の袖を引いていた腕をつかんで引き寄せる。
反対の手で、顎をつかむと無理やり上を向かせて、キスをした。
「んやっ、駄目っ……ん…」
千歳は俺の胸を押しやって一応の抵抗を見せたけれど、結局大人しく、俺の唇を受け止めた。
肩に掛けていたカバンがドサっと廊下に落ちた。
静かな廊下。
誰も通らない廊下。
俺は廊下の壁に千歳の身体を押し付けて、千歳の唇を舌先で割っていった。
千歳がはっとした表情になって、俺の身体を跳ね除けようとするけれど、力で俺にかなうはずもなく、俺は舌で千歳の歯列をなぞる。
「…んぁっ…」
小さく声を漏らしながら、唇を開いた千歳の舌を絡めとり、ぴちゃぴちゃと音をたてて撫でる。