「ぶつかったのはそっちだろっ」
…みっ…宮野由宇!
呆然と亜紀が由宇を眺めていると、あの女生徒が叫んだ。
「きゃっ…きゃああっ!宮野センパイっ!すいませんっ!あたしが悪かったですぅ〜」
けっ敬語かよッ!教師のあたしにはタメ口なクセにっ!
女生徒はコロリと人が変わったかのように由宇に喋り出した。
「せんぱぁ〜い…あたし最近貧血ぎみでこけちゃったんですぅ。センパイにも迷惑かけちゃってぇ★えと…もしよかったら…お詫びに今度食事なんかどうでしょう☆」
猫かぶりすぎだこのヤローっ!
「悪いけど君と違って忙しいから。貧血ぎみなら神谷センセに助けてもらいなよ(笑)ねっ先生?」
あたしに振るんかい!
「え゛…あっそっそうね!調子が悪かったらいつでも保健室に来ないとね!」
女生徒は顔を赤らめている。
「クスッ…じゃ、よろしくお願いしますね、先生?」
由宇は怪しげに亜紀の耳元でささやいて、去っていった。
「なっ…何アイツっ!」
私は無償に腹が立った。
「やっぱあんなガキ所詮顔だけよねっ!アイドルでちやほやされてらって調子乗ってんじゃないの!?あ〜ヤダ!これだから最近の子供は信じられないわ!ガキンチョめっ!」
「神谷先生何をブツブツ言ってんですか(笑)」
「うぁっ!東条先生っ」
東条聡(とうじょうさとし)先生は数学担当で同じ一年前にこの学校に入ってきた同い年で同僚の男の先生なのだ。
「丸聞こえですよ(笑)一応ココ職員室だから文句は小さい声で…ね?」
「はいっ。すいませんちょっと宮野由宇の事でムカムカしちゃってですね。」
「あぁ、宮野ですか。俺も気に入りませんね!俺が嫌いなのか知らないけど授業態度悪すぎなんですよ!(怒)ちやほやされて良い気になってんですよっ」
「あははっあたしと同じ事言ってるー!やっぱ東条先生とは話が会う気がします」
「本当…ですか?」
「もちろん!本当ですよ?あたし東条先生の事好きですよ」
もちろん、亜紀は同じ教師として、だった。しかし…
「俺も…神谷先生が好きです…」