部室に戻ると、先輩が「どうだった?」と言って駆け寄ってきました。
僕は、空のシャーレを差し出して、「だめです。やっぱりやり方が
分かんないんで、精子が出ません」と言いました。「先輩に教えて
もらったやり方で、一生懸命やってみたんですけど、どうやっても
出そうにないんです」と言って困った顔をしてみました。
先輩も困った顔をしていました。
そこで、僕が「でも今日材料を集めるくらいまでやらないと、もう
間に合わないんですよねえ」と付け加えると(わざと言ってみました)
先輩は泣きそうな顔になりました。