翌朝、目が覚めると台所に姉ちゃんが立っていた。味噌汁作ってる…どういうきまぐれだろう。
ゴミ箱にはハサミで切ったネクタイ…ゆうべの出来事は夢じゃあなかった。
「今日は特別だからね」照れ隠しの姉ちゃん。「あ・痛!」
どした?
「切っちゃったあ〜」あ〜あ、まだ包丁は無理かぁ
「ちょっと見せて」
少し深いかなあ
念のため病院へ行くようにすすめた。
快気祝いで姉ちゃんがおごってくれる、と言うことで、ボクらは病院で待ち合わせた。
「指、どうだった?」「大したことないよ」姉ちゃんの指、白い包帯が、なんとなくかわいい。
「拓ちゃん」
姉ちゃんが甘ったれた声で言う
「こんな指になっちゃったからさぁ…」
「うん?」
「また…お風呂お願い…」
「うん…」
「変なコトしちゃだめだよ」
そんな可愛らしい言い方しないでよ…また反応しちゃう。
「ねぇ、やっばりボクが何か作るよ。」
「どうしたの?」
「早く帰りたくなったの」
姉ちゃんが少し赤くなった。
「何がいい?」
ちょっと思案の姉ちゃん…
「久しぶりにカレー、とびきりスパイシーなヤツ。」
「…よっしゃ」
ボクと姉ちゃんは、手をつないで家路を急いだ。 完