「奈菜早くしなさい!!!」
『待って待って〜もうちょっと』今日で私はこの家とお別れ。大好きな町と大好きな自分の部屋。親の仕事の都合で引っ越しする事になったのだ。
私は荷物をまとめる。そして幼い頃から大切な物をしまっておいた箱をサッっと手に取り家から出て急いで車に乗り込んだ。
「もぉ…遅いわよ?」
『ごめんごめん…』
車は新しい家へ走り出した。ここから何時間も掛る。
私は幼い頃から大切な物を閉まっておいた箱を開けてガサガサと中をあさった。懐かしい物ばかりで懐かしさに浸っていた。ふと片隅に小さな手紙がチラッと見える。私はその手紙をパラッと開き文章に目を通す。そう、あの夏の日…私は忘れない。