4時半過ぎて、そろそろ暗くなってきたので、もう学校には生徒は
あんまり残っていません。生物部の部員も、僕と先輩以外はみんな
帰っちゃったようでした。部室のある新館はしんとして、人の気配が
しませんでした。
僕が「先輩、どうしたらいいですか」と聞くと、先輩は泣きそうな顔
で下を向いていたのですが、「しょうがないから、一緒にやろうか」
と言いました。
僕はその一言を待っていたので、おもわず躍り上がりそうになりました
が、ぐっとこらえて、わざと「え?一緒にって、どうやるんですか?」
と尋ねました。先輩はそれには答えず、黙って立ち上がると、左手に
シャーレを持ち、右手で僕の手を引いて、トイレの方へ歩き出しました。