空は緊張しているのだろうか…私の心は恥ずかしさの反面、“嬉しい”という気持ちでいっぱいになっていた。
桜:「…こんな私で良ければ…よろしくお願いします…」
私は空に今の気持ちを伝えた。空は予想外の私の答えにしばらく固まっていた。
空:「あ…ありがとうございます!」
空は美しい眼をキラキラと輝かせて私に言った。本当に嬉しそうだ。
空:「あの…あつかましいかもしれませんが、神崎さんの事…下の名前で呼んでも良いですか?…ぁっ…!もっ…もちろん僕の名前も下で呼んでくれてもかまいませんのでっ!」
桜:「クスクス…なら…空…さん?」
空:「“空”で良いですよ」
桜:「…空………」
私達は夜空に咲く光の花には目もくれず、ただお互いを見つめ合っていた……。
空との距離がせばまり、空の唇が私の唇に触れようとした…
『ガサッ!!』
2人はびっくりして正気に戻り、口づけを止めた。……恥ずかしい。
『ガサッ…ガサッ』
桜:「な…何の音ですか?」
隣の茂みから“ガサガサ”という音がする。…それだけではない、女の、甘く甲高い声がする。
空:「何の音だろ?」
空は音がする方向に近付いて行った。空は気付いてないみたいだ。
桜:「ねえ…空!止めとこ?…空ってば!」
茂みの中で何が行われているか、私には分かった。だから空を止めた。
…それでも空は聞かず、私と空はゆっくりと音のする方へ向かった。