その場で何が行われているか気付いていたはずなのに─────。
生きる意味を見失っていた私にはセックス経験がなく、その男女の行為はあまりに衝撃的なものだった。
空:「…えっ…と………」
桜:「…………」
空の顔からも、私の顔からも笑みが消え、ただ私達は呆然と立ち尽くした…。
花火が終わった夜はとても静かで…とても暗かった。
私達は無言のままその場を離れた。
見てしまった罪悪感と私の目に焼き付いた光景…声…音────……怖い…。
空:「──さ…───くら─…?──…………」
空が私に何か話しかけている…自分の心臓が速く脈打ってるせいか、空の声を上手く聞き取れない……空に言葉を投げ掛けられても返事をする事が出来ない……
空:「…桜?…大丈夫ですか?…本当にすみません…僕のせいで………桜が止めた時に僕がちゃんと桜の話しを聞いていれば……」
桜:「……………」
空:「桜…?」
空が心配そうに私の肩に触れた。
『ビクッ!!』
私はさっきの出来事で神経質になっているのだろうか…空が私の肩に触れた時、私は身を震わせた。
空:「桜……」
空は震える私の肩をそっと抱き締めようとした…。
桜:「やっ!…止めて!!」
『バシッ!』
私は抱き締めようとする空の手を振り解くと何もかも分からなくなり、気付くと私は暗闇の中に一人っきりだった……。