────おそらく私は無我夢中で走ったのだろう……。
暗くて何も見えない…風の音や草花が風に揺れている音…虫の鳴く声…すべてが私の恐怖心を煽る。
桜:「…やだ…ここ…何処?…怖いよ………空…そらぁぁあああ!!」
私は必死で空を求め叫んだ。だが、ここは誰も居ない広い山…月は雲に隠れ辺りを照らす物は何一つない……
私の目からは涙が溢れていた。その涙は恐怖心からなのか…空にしてしまった事の申し訳なさからなのか………。
私は溢れ出る涙を手の平で拭き、ゆっくりと歩き出した。
草にあたり切れた私の足からは血が出ていたが、そんな事などどうでも良かった。
それから私はどれくらい歩いたのだろうか……
ザザッ…ザザザ───!!
『────!?』
突然、視界の光景が変わったと思うと全身に痛みが走った。
ドンッ!
桜:「っ……!!」
私の体は草花の上を滑り落ち、木にあたり止まった。私は痛さで体を埋めた。
桜:「うぅ……」
幸いな事に落ちた場所はそう高くない。
桜:「……ふっ…ははっ…あははは…やっぱり生きてても何も良い事なんてないじゃない!」
恐怖心で忘れていた足の傷の痛さ…空と出会い忘れかけていた心の傷の痛さ……私は草で切った足がジンジンと痛んでいる事に気付いた……
桜:『私なんか生きてても意味がない…あの時だってそうだ…誰も…誰も分かってはくれない────。』