季節は春から夏へ移る時期。ちょうど梅雨どきの時期である。
雨が降るのか降らないのかよくわからない天気が、奈津美をはじめとする慣れない高校生活に疲れた新入生たちのテンションを下げていた。
そんな時期だった。転入生が来た、という話を聞いたのは。
彼の名は―――中山陽介。
顔は可もなく不可もなく…って感じ。
でも、多数の女子は気に入ったみたいで、そいつが転入したクラスの近くにはいつも人だかりが出来てた。
なんと、部活はバスケ部らしい。
『奈津美と一緒ぢゃぁん♪』
こういうことに関してはミーハーな親友、千明も気に入った女子のひとりだった。
『一緒って言われたって…。』
私は、キャァキャァ言われる男子はタイプじゃなぃ。そりゃぁ、顔はキャァキャァ言われるだけあって、かっこいいとは思うケド、そういうやつって、いつもきどって、やなやつって感じがして、好きって思えない。
『ねね、近いうちメァド聞いてきてょぉ〜、お願い(>人<)』
『もぉ、千明はいつもこれなんだからぁ。しかたないなぁー。かわぃぃ千明ちゃんのために、一肌ぬいできますかなッ』
『やったぁ☆奈津美、マジ感謝↑↑』
どうせ、部活で同じ競技で関わる訳だし、メァドぐらいいっかって思って、軽く引き受けた。