「俺の前で…イッたのか?」
涼子は首を横に振るのが精一杯だ。自分の下着が私の目に触れるのを恥入り、散らかったそれを回収した。それから、とりあえず、はしたない全裸の状態をなんとかしようと、下着を着けようとした。
「待てよ」
涼子の肩がビクッと震え、少し曇った眼鏡で私を見た。おびえている。私は苦く笑って眼鏡を取ってやった。
「もう少し裸でいろ」「……」
所長がパンツ一枚の姿で、間抜けにお茶を運んで来た。
「あの…」
何も言うな!私はわなわな震えている。二人に説き伏せられるのは耐えられない…
急にわけもわからず、妻を猛烈に抱き締めた。涼子はすすり泣いた。
「ごめんなさい…ごめんなさい…」
しかし、次の瞬間また腹が立って来た!
せっかく寄り掛かった妻を突き放した!
「俺の前で…もう一度セックスしろ…」
「…そんな…できるわけ…」
「どうした?…次は本当にイッてしまいそうか!」所長の方は戸惑いはあったものの妻次第だ、と言う表情だ。「…所長はまだ満足してないようだぞ…」
私はネクタイを外した。ワイシャツを脱ぎ始めると、妻は戸惑い始めた。
構わず私はトランクス一枚で涼子の目の前に立った。