「静夜の…幸せが何か知りながら…俺は…」
「──……優しい人」
ルナが十希を優しく抱き締める。
「──……いつかきっと…静夜は幸せになれる。絶対に…」
ルナは、十希に優しく微笑み十希の罪を許す。
「でも…十希にまでフラれるなんて…やっぱり…汚れた者の末路は決まってるのかしら…」
「ルナ…様?」
「十希…優しい人…あなたの罪は私が受けいれる。だからあなたは静夜義兄様を…お願い」
書斎。
「あれは役にたっていないみたいだな。静夜」
「…」
「何も言いたく無いか?まあよかろう。あの娘…役にたたないのなら元の娼館に返す」
「Σなっ」
「あの娘は玩具だ。それ以外に価値は無い。お前が必要としないなら元の娼館か別の娼館に引き渡すだけだ」
「あなたは…よくもそこまで…」
「お前が何と言おうがあれの買い主は儂だ。そしてお前の取る道は二つ。あの娘を玩具として必要とするか、必要としないか…」
「ッ父さん…あんたは人間をなんだと…そうやって〈華夜〉も!」
「お前の妹〈華夜〉が結婚を望んだ。儂の決めた結婚相手と結婚する。そのかわり静夜が逢いに来ないように居場所を隠して欲しいと……儂はそれを承諾した。承諾した以上お前に華夜の結婚先を言うつもりは無い」
静夜は憤り、父親を睨みつける。嫌悪。静夜は父親を憎んでいる。
「いいか、静夜。ルナをこの屋敷に置いておきたいなら…どうすればいいか分かるな?」
「ッ」
月夜。
月が輝き、闇を照らす。
「ンッ…」
眠っていたルナが圧迫感に気付き目を覚ます。
「Σ義兄様!?」
目を覚ましたルナの目の前に静夜の姿があった。
いつの間にかルナの部屋に入って来ていた静夜は、寝ていたルナの上に跨りのっかっていた。
「Σに・義兄様ιな・何?」
「……」
静夜は無言でルナの手首を押さえると、顔を近付け口付け、無理矢理口を割り舌を激しく絡ませ掻き回す。
「ンッ───ッ…アッ───ハァ…静…まっ───ッん」
言葉もまともに発せない程の激しいキスをルナにし続ける静夜。
ルナは訳が分からずただそのキスを受け続ける。
「ハ…ァ…静…夜?ど…したの?」
ようやく止まった激しいキス。ルナが静夜を見上げ、少し息苦しそうにしながら聞いた。