來紅君の唇は柔らかくてフニフニしている…
私『可愛いなぁ…きっと最近は中学三年生にもなれば彼女いるんだろうなぁ…。』
來紅君の可愛い顔を覗きながら私が一人呟いていると
來紅『いないよ。』
いきなり目を瞑ったまま來紅君が喋ったので私は驚きの余り思いっ切り振り上げた--ゴンッ--…見事に頭を壁にぶつけた…。
私『いったぁ〜い!!』
私が涙目になりながら頭を擦っていると、來紅君が心配そうな顔で近付いて来た。
來紅『先生大丈夫ぅ?俺に悪戯なんてするからだよ♪』
可愛い笑みを浮かべてクスッと笑った。
私『來紅君…起きてたなら言ってよ〜。』
私は自分のしてしまったことが恥ずかしくて泣きそうになった。生徒になんてことしたんだろう…一瞬でも恋心を持ってしまうなんて……
來紅『俺怒ってないよ♪むしろ嬉しいってか俺…先生のこと好きだから。』
私は來紅君の言った言葉を上手く聞き取ることが出来なかった…と言うより信じられなかった……
私『え…?今なんて?』
頭をフル回転させて必死で來紅君の言った言葉を整理した…しかし來紅君の行動で全て理解出来た。
-チュ・・チュパ・・-
來紅『先生…好き。実は、先生がこの家に来る前から知ってたんだ…。俺、先生の弟の金谷流紀(かなや るき)の親友なんだ。』
え…偶然過ぎるうえ、ドラマみたいな展開に頭の回転は停止したままだった。
私『弟と友達ってだけで…何で私だと分かったの?』
とぎれとぎれだけど自分の脳を出来る限り絞って來紅君に問い掛けた。
來紅『まぁ…忘れるのも無理ないよね。先生と会ったの俺が小学五年生の時で、それ以来先生の事は写真以外で見たことないよ。』
來紅君が小学五年生…ということは、私は高校二年生くらいか?その時は彼氏もいたし年下には興味が全くなかった。だから覚えて無いのか…
來紅『ねぇ…先生は俺のこと好き?嫌い?』
急に來紅君が上目遣いをしながら甘えた声で聞いて来る。私はもう誤魔化しは効かないと言うより自分に嘘は付けないと思った。
--チュ--
今度は私からしてあげた。
私『好きよ…こんな短い期間で好きになったのは初めてだわ。』
キスにうっとりする來紅君の顔が…仕草が…愛しくて仕方がなかった。