今まで異性として意識すらしたことがなかったK。
背が小さくて細身で華奢。顔も好みとはかけ離れていた。でも。
そのかすかなカラダのラインに、意識せざるを得ない。
1年の頃からずっと好きだった、僕が部長になったから自分もなった、
自分の走る姿がかっこよかった…等々、Kの胸の内を明かされる。
…と、近づいてくる足音。とっさにKの手を引いて、女湯の方に入る。貸切の札をさげる。
何故女湯だったかって、男湯の方は電気がついてたから。本当にそれだけの理由。
やましい事を考えるより、Kと話したかった。
つかんだ手には汗がじっとりとついていた。どれだけ、Kが緊張してたのか。
頭一つくらい違うKを、きゅっと抱きしめる。
正直に、僕がKをそんなふうに意識した事は無かったと言う。
そんなふうに思ってくれてて、嬉しい、とも。
Kは涙ぐんでた。「やっと、やっと言えた」って。
初めて見る泣き顔は、とってもきれいだって思った。
しばらくして、Kは落ち着いたようで、僕の心臓がバクバクいってるとか、汗くさーいとか、
いつものテンションが戻ってた。だけど、いつもとはほんのちょっと違う気がする。
僕の胸に顔をうずめたまま、Kは言った。
「いっしょに、はいろ?」