『春』…私達が出会った季節……。
カーン…カーン…
教会の鈴が鳴り響く中、私達は指輪を交換した…
牧:「貴方はいかなる時でも、妻神崎桜を愛す事を誓いますか?」
空:「はい、誓います。」
牧:「貴方はいかなる時でも夫斎藤空を愛す事を誓いますか?」
桜:「はい、誓います。」
牧:「では、誓いのキスを」
空が私の白いベールに手をかけ、そっとめくりあげる…。
恥ずかしさからか、お互いクスッと微笑み合った…
空:「…桜…愛してます」
桜:「…空…私も…」
そっと口づけを交す…唇からお互いの温もりを感じた…
────────。
それから5年の歳月が流れた。
空の子供には恵まれなかった……。
相変わらず私は、親が勝手に決めた会社に努めている…。けれど、一つ変わった事がある…
桜:「こんにちは!神崎桜です!精一杯歌いますので最後まで聞いて行ってください!」
パチパチパチ…
私は毎週土曜日に、あの桜の木の下で路上ライブをしている…空が教えてくれた…『夢を諦めたらいけない』という事を…
『ねぇ空…聞こえてる?私、今ね…一生懸命頑張ってるよ…だから…───。』
5年前、結婚式を挙げてから半年後…空が発作を起こして倒れた…。
一命は取り止めたものの、空は危ない状態だった…2日たっても意識が戻らない…
私達は最後の選択に差し掛かった…アメリカでの手術…たった15%の成功率…失敗すれば永遠に空の目が開く事はない……けれど返事はすぐに出た……
『お願いします』…