妹のサキとメールを始めたのは、先月のことだ。
『全然顔見せないじゃん』
『あ〜誰かと思ってびっくりした!』
『もう落ち着いたんだろ?』
『おかげさまで。子供も学校に慣れたみたい。アドレス何で知ってんの?』
『おふくろに聞いた。』
『電話すればいいのに』
『姑と大変だって聞いたから。』
『そうなんだ。長電話できない』
『アキラさんいつごろ?こっちに帰れるの?』
『もう一年は単身だと思う。』
『大変だ…アキラさんいくつだっけ?』
『もう36よ。私より八つ上だから』
『さびしいだろうな』『うん』
こんな調子で、オレとサキはたまにやりとりするようになった。
相手はもう30代半ばの妹なのに、なぜかメールを心待ちする自分…ウチの女房も知っているけど、最近、メールの回数が増えて来た。別にエッチなサイトや浮気じゃないんだから、堂々としてればいいんだけど、何となく気兼ねだ。
「ねぇ、この明細見てよ。あなたのパケット料金…」
確かに…
「キョウダイでよくそんなにメールできるよね、仲良過ぎじゃない?」
こんな風に言われるのが嫌だった…
「電話の方がむしろ安いんじゃない?」
まだ明細を見てる…もうわかったから。