部屋で着替えていると、携帯が光った。
『びっくりさせようと思った!』
オレはいつものようにサキ用の携帯をかばんにしまい込んだ。
リビングに下りると、サキがニヤリと笑みを送って来た。
子供達も久々の再会で、はしゃぎまわっている。
「どーお?お義母さんとは」
女房がおばさん臭く切り出した。この話でしばらく繋ぐに違いない。やはり主婦が二人で会話すると何となく色気がない。メールの中のサキとはちょっと違う。
「おばちゃん!これなに?」
けたたましくサキの息子が女房に聞いた。
「はいはい…」女房が子供達の輪に引きずり込まれた。
「びっくりした?」
「ああ、泊まって行くのか?」
「ううん、今日は帰るよ」
「そうか」
「また改めてゆっくり来ます。」
女房が戻って来た。
「姑さんがいると、なかなか家は空けられないわよね」
「そうなのよ〜」
で、また主婦の会話になった。
次の朝、電車の中で携帯を見ると、ゆうべのサキのメールがあった。
『ごめんね!お兄ちゃんともう少し話せたらよかったけど…』