激しく抵抗する女を、男は強引に地下室に連れ込もうとしていた。静かな夜の出来事だった。薄暗いコンクリートの階段を下り、引きずるように女を歩かせる。そして地下室のドアの前に来ると男は片手で女の腰に手を回し、もう片方の手で素早くドアを開けた。女は『いや、いや』と小声で呟ながら逃れようともがいている。男は『入るんだ』と、ぶっきらぼうに言うと女を抱き上げようとした。しかし女は抵抗して男の腕に噛みついた。男は痛みで顔を歪めたが、それでも女の髪を掴んで引き離し乱暴に女を地下室の中に押し入れた。『キャッ!』と悲鳴を上げて、女は押された勢いで派手に床に倒れた。その隙に男も中に入り電気を付け、女に背を向けてドアに鍵をかけ、その鍵を自分のポケットに突っ込んだ。そしてゆっくりと振り向き、ニヤッと女に微笑んだ。女はなんとか体を起き上がらせたが尻もちをついた状態で涙目になりながら男を見上げていた。ガタガタと震えながらも『乱暴はしないで』とキッパリと言った。男はまだニヤニヤしながら女に近づき、女の目の前に来ると顔を合わせるようにしゃがみこんだ。反射的に女は後退りする。スカートが汚れようが、靴下がずり下がろうが、おかまいなしに下がり続け壁に背中がぶつかった時、逃げ場がないことを悟った。男はしゃがんだ場所から動かずに女を見つめている。女は立とうと試みるが足が震えて言うことをきなかい。男は立ち上がると静かに言い放った。『さぁ、始めようか』……オレンジ色の豆電球の下で女は恐怖に顔を引きつらせた。