次の晩、残業中に携帯が…サキだ…
『こんばんは。終わりましたか?』
『今終わりました』
『ゆうべのこと…話せる?』
『話せない』
『もう!からかったの?一応私も女です。嬉しくて胸がキュンとなったのに…メールで違う世界に行ったのかと思って心配したのよ!』
『からかったんじゃない』
『…本当は冗談なんでしょ?』
『…』
『…本気で言ってるの?』
『…わからないのか?』
『わかんないよメールじゃ…文字だけだもん。電話していい?』
『ダメ!こんなこと…、電話じゃ…とても話せない…』
『…うそ…』
『…ごめんな…本当に』
サキのメールが途切れた。もう来ないだろうか…
『ちょっとだけ、声聞きたい…』
『嫌、さっき言ったよ』
『…確かめるだけ』
否応なしに電話が鳴った!
「…もしもし…」
どうしよう…
「あ、ああ」
声が裏返る…
「お兄ちゃん…?」
「ああ…」
しばらく無言…
「…なんか言ってよ」「だから嫌だって……困らせないでくれよ…」
「…じゃ本当なの?」「…うん」
「……わかった…でも錯覚だと思うよ…もうちょっと頭冷やした方が…よく考えてみて…」
電話が切れた…