なんとなくわかってたけど、実際に言われると、どうしようもない自分がいる。
性への好奇心。倫理。熱いKの吐息。痛いくらいびくびくしてる下半身。
…と。ぬるくなっている湯船がひやっと冷たいように感じた。妙に冷静に頭が働きだす。
俯いて体を預けるK。興奮して今にも押し倒しかけている自分の体。ふと、Kが微かに震えて
いるような気がした。
「ありがとう」
僕は、そう言葉を発していた。
「僕も、Kとだったら、したいな」
ぎゅっと、抱きしめる。やっぱり、Kが震えてるように思える。
「でも、まだ早いよね」
Kが「えっ?」という顔で僕を見る。おでこに口づけた。
「僕は、もっとKの事を好きになりたい」
しっかり、Kの目を見る。そうしないと、自分の欲望に負けてしまいそうだったから。
「Kは僕のことをずっと見ててくれた。だから…」
Kの目にうっすらと涙が浮かぶ。胸が、ぎゅうって締め付けられそうになる。綺麗。
「僕も、もっとKのことを見ていたいんだ」 「…うん…」
また抱きしめて、耳元で、呟く。ごめんな…
ぶんぶんと首を振るK。
「なんか、うれしい。こうしてるだけでいいの」
Kの震えはもう止まっている、と思った。
そうして、しばらくして、僕らは風呂を上がった。脱出の時は相当に緊張したが、無事に出る事が出来た。
部屋に戻る直前に、おやすみ、とキスをしてからお互いの部屋に戻った。