『律義でなきゃだめ。ドーナツ食べないの?』
『食べても味なんかわからん』
『なんで?』
『緊張して』
サキは笑っている。
『不思議…私なんか相手にお兄ちゃんがそんなこと言うなんて』
『…サキ…まだオレの気持ちがわからない?』
オレはサキをじっと見つめた。笑みを浮かべていたサキは、オレの表情に少し驚いた顔をした。オレは一心にサキを見つめた。きれいなサキの瞳…急にお互いに視線を離せなくなった。スーパーのBGMや雑踏や、全ての音がかき消されて、ここには二人しかいないような気がした。釘付けとはこのことか…
張り裂けるような動悸…サキの目がみるみる潤んでくるのがわかった…
『…好きだよ』
やっとメールに気付いて読み出したサキは、胸の鼓動を確かめている…。
読んだきり、返事を返せないでいる。
『今…ものすごくドキドキした…』
読みながらうなづくサキ
『…抱きたい…』
サキは携帯を見ると目を見開いた。今までの反応と違う気がした。『…ダメです。兄妹なんだから…』
『メールの中だよ…想像してもいいだろ?』『…ダメ…』
『お前のその白い肌…全部にキスしたい…』サキはうつむいて耳まで赤くなった。