お兄ちゃん…いつもいつも私の側にいてくれたお兄ちゃん…。なにも出来ない馬鹿な人だけど、私のために笑って、泣いて、悲しんでくれた、とても優しかったお兄ちゃん。…最初はからかって遊んでいただけだったのに、いつのまにかお兄ちゃんの虜になっていた。お兄ちゃんの目、鼻、口、手、足、心、体…全てが好き。これほど人を好きになることはあるのだろうか。お兄ちゃんと会うたびに、心臓は高鳴り、顔は紅潮する。私はお兄ちゃんに私の全てをあげようと思っていた。たぶん、顔を赤らめ「何で僕なんかにー…」とか言って逃げようとするだろう。でも私が素直に好きだと伝えれば、お兄ちゃんは私の事を大事に考え、決して裏切らないだろうと思う。しかしお兄ちゃんだったら、私の人生をなにもかもメチャクチャにされても好きで好きでたまらないと言い切れる。
………だけどそのチャンスさえ無くなってしまった。…何度も何度もあの声が繰り返し聴こえてくる。
『大丈夫だよ僕がついてる…』
『先輩…!!』
堪らなくなって毛布で耳を押さえつける。お兄ちゃんを好きな他の女の人がいた…。しかもお兄ちゃんと両思い…。頭がクラクラする。あの事を思いだすだけで頭のなかは真っ白になり、心臓が針金で締め付けられるように痛んだ。もうお兄ちゃんは私に、決して振り向いてくれない…。そう考えるともう私の前には死があるようにしか見えなかった。お兄ちゃん…もう私を助けてくれるのは彼方だけ…。お兄ちゃん…お願いだから私を見捨てないで…。お兄ちゃん…どうか私を…。お兄ちゃん…お兄ちゃん…お兄ちゃん…お兄ちゃん…。
苦しくて苦しくてどうしようもない感情。
止まらない止まらない悲しみの涙。
いかに心が苦しみ、体が泣いたとしても、体の習慣は恐ろしい。妙に体がほてっていた。毛布の中から時計を見ると九時を回っている。
(この時間は…あー…そっか…)
私は不意に毛布を少し上げまだはいていたスカートへ手を入れた。下着の上から私の秘部を優しくさするように触れる。
…少し湿っていた。この事に私は驚いた。今の今まで物凄く悲しんでいたのに、もうこういう事に対して体が反応し始めてる。
(私……変態さんだな…)
…私は九時を回るといつも一人でHをしていた。大人というお兄ちゃんに気に入られるために。だがもうこの行為は意味ないと思った。しかし体は勝手に動く。私は手をまたスカートへ入れた…。