やめて…。そんな…。どうして…。イヤ…。頭の中で叫ぶも、声にならない。何故こんな目に…。
こんな事になるとは、全く想像つかなかった。今日は、昨日から降り続いた雨もあがり、爽やかな青空が広がっていた。「さぁ、洗濯物片付けちゃお」 美晴は、専業主婦だ。会社員の夫と、小学校3年生の娘の3人で平凡だが、ほのぼのとした家庭だった。たまには、変化が欲しい、刺激がない、と思いながらも、今の生活に満足していた。鼻歌まじりに洗濯物を干していく。その時、玄関のチャイムがなった。『は〜い♪』ふとリビングの時計を見る。(10時か…。誰だろ?)小走りに玄関へ向かう。『どちらさまでしょうか?』『担任の広沢です。』『いつも娘がお世話になってます。』と、社交辞令ではあったが、そう言いながら玄関のドアを開けた。そこには、娘の担任の広沢が、汗をふきながら立っていた。まだ新米教師だが、子供たちには人気のある先生だ。なかなかのハンサムで、爽やかな印象をうける。『あら、今日はどうかなさいました?』『ちょっとお願いがありまして…。お忙しいとは思ったのですが、お伺いしました。』『立ち話も何ですから、どうぞ。』美晴は、中へ招き入れた。