『にしても暑いですね〜。僕、暑いの苦手なんですよ。あ、お構いなく。』リビングのソファに浅く腰掛けた広沢は、汗をふきながら言った。学校から家までは、徒歩で15分くらいだ。歩いてきたらしく、シャツがうっすらと汗ばんでいた。『ところで、お願い、って何ですか?』美晴は、広沢の向かいに腰掛けた。グラスの麦茶の氷が、カランと涼しげな音をたてる。広沢は、軽く会釈して、グラスの麦茶を飲み干した。『さっそくなんですけど…』そう言うと、広沢は立ち上がり、美晴の横に座ると、抱き締めた。『何…!?』美晴は、広沢の予想もつかない行動に不意をつかれた。あわてて振り払おうとするが、男の力には敵わなかった。『離してくださいっ』広沢は、必至に振り払おうとする美晴の両手首を片手で掴んだ。もう片方の手でネクタイをするりとはずすと、美晴の両手首をきつくしばった。『何するのっ!』広沢は、何も言わずにネクタイの端をソファの足にに固く結びつけた。『前から気になってたんですよ。今日は、学校も休んじゃいました。』広沢は、悪びれた様子もなく、さらりと言ってのけた。『だけど、普通にヤるだけじゃつまんないでしょ?』広沢は、薄笑いを浮かべた。ぞくり。美晴の背筋に鳥肌がたつ。『何も、こんな事しなくても…。お願い、はずしてっ』美晴は、手首をひねり、はずそうともがいた。それを広沢は、ただ眺めているだけだった。『ぞくぞくするね〜、その格好。』