「まーね、普通の男は女から来られたらひくよね」
「ですよね」
「ん、でも一般論だよ〜?俺じゃないよ?」
聞いてない。「俺」のことは。でも、わかっているのに聞いてしまう。
「え、じゃあ「俺」はどうなんですか?」
「俺?俺はねぇ、女の子から来てもらったら嬉しいけどね」
私はため息をつく。
「小林さん、本当に軽いですね」
「ああそう?俺は仕事してない時はいつもこんな感じだから。浅海ちゃん、そこ左」
本当にこの男は最低だ。免許を持っていないわけではないのに、絶対に自分では運転をしない。仕事で遅くなった時は、こうやって自分に好意を寄せている女性に送っていってもらう。
そのことに、ちっとも罪悪感など持っていないにちがいない。