けれど、今、小林は私の車の助手席にいる。
不思議なものだな、と思った。二か月前、小林は酔った勢いで私にキスを迫った。
私は小林に抱きしめられたことにまず動揺してしまい、けれどそれでも理性が勝って、やんわりと拒んだのだ。
それから一か月がたって、今度は私から手をつないでしまった。
その日の夜に小林からきたメール。
「今日は飲ませちゃってごめんねm(__)mでも甘える浅海ちゃんは、彼氏の前でもこんな風なんだと思うと、可愛かったよ」
小林にとっては私などほんの気紛れだということに気付くのが遅れてしまった。
小林にとっては、飲みに誘えばついてくる便利な後輩。たとえ手を出したとしても、彼氏がいる以上は面倒なことにはならないと思っているのか…それとも何も考えていないのか。