遠藤ちゃんの言葉に、私は不安と恐怖と…それだけではない感情が入り交じり、複雑な気持ちになった。
そして、半月後の夏。
恒例の社員旅行の時期になった。今年は北海道。そして、旅行幹事は小林だった。
旅行前日、会社から出ようとすると小林に呼び止められた。
「ねぇねぇ浅海ちゃん。羽田まで、誰かと一緒に行く予定あるの?」
甘えた口調。誰かにきかれていないかと、ひやひやしてしまう。
「いえ、別に…」
「俺さぁ。羽田の行き方ってわかんないんだよね」
「何やってるんですか、幹事が」私はあきれて笑った。
「…じゃあ、一緒に行きましょうか?」
「そう言ってくれるの待ってたんだよ」
小林は満面の笑顔になる。
「でさぁ。俺、幹事だから、三十分前には着いてないとなんだよ」
「え〜?朝早いのに?しかもその三十分、私やることないじゃないですか…」
「いいじゃん。俺と、将来について語ろうぜ?」
私は赤くなってしまった。