「だから!」
と私が抵抗すると、小林は、
「じゃあなんでキスしたの?誰とでもするんだ?」
と挑発するように言う。
「そうじゃないよ」
と言ってから、私は唇をかんだ。小林の思うつぼだった。
「…俺だからだろ。お前の気持ちは、わかってる」
と高飛車に言う小林。わかってる?私ですらわからないのに?
私が黙っていると、
「俺だから、って言え」
いつもの小林じゃないみたいな声。
「……」
私は小林の背中に手を回し、目を閉じた。
「…そうだよ。でも、駄目だよ」
「なんで」
「だって。貴方のことを好きな人は他にいっぱいいるんだよ?なのに、どうして私なの?そばにいて、簡単だから?」
そう聞く私を、小林はぱこんとぶつ。
「その中でも俺が、お前を選んだんだ。光栄に思え」