ブロロロ…
学校の帰り、車で光はさっきの少女の事を考えていた。
――ありがとう――
あまりにも嬉しそうに彼女が言うものだから、光も嬉しくて仕方なかったのだ。
『光お嬢様、学校で何かあったのですか?』
運転手が、光に問い掛ける。
「少し…ね」
光はフッ、と笑った。
ガチャッ。
『光お嬢様、お帰りなさいませ』
一斉にメイドが光を出迎えた。
「ん…んん。ただいま。あっそれより…」
光は、優貴の部屋を聞き出し、ドキドキしながらも部屋へ向かった。
「な…んでこんなに緊張してるんだろ…。馬鹿みたいだゎ。」
優貴の部屋の前に着くと、ドアが少し開いていた。不思議に思い、少し覗いてみる。
キィ…
「…」
優貴はただ窓辺で、空を見上げていた。
ただそれだけなのになんだか切なくて、陽に透ける真っ黒な髪がとっても綺麗で…
その瞳は、なにを見つめているの…?
カタッ..
「…ん?光?」
「?あ゛…っ優貴…バ、バレちゃった。。」
つい恥ずかしくて優貴を見ることが出来ない光は、ずっとうつむいていた。
「…光…?」
ポンッと、優貴の大きな手のひらが、光の頭を優しくなでる。
優しい、優しい時間…。泣きたいくらいに切ないのは何故だろう。
「優…貴」
「ん?どうした?」
「グスッ…んん。なんでもない」
光は少し意地悪そうな笑顔を浮かべた。
この気持ちを言ってしまおうか…
「優貴…私…は…」
その時…
ジリリリリリリ!
「きゃあっ!」
「!?うるさっ」
警報ベルの音が、屋敷内に響き渡った。
屋敷には、何者かが侵入した時にセンサーが反応し、警報ベルが鳴り、警察に通報されるというシステムがあるのだ。
「だっ…誰かが入ってきたのかなぁ?なんかちょっと…怖い…」
「大丈夫だって(笑)ちょっくら見てくるゎ。待っといて」
優貴がそう言って出ていった瞬間、窓の外で物音が響いた。