シャワーの水音がする。階段を降りると、妹の鼻歌が小さく聞こえた。
その声に誘われて、脱衣所まで入ってしまった。
洗濯カゴの中に妹の脱いだ、衣類が無造作に投げ込まれてある。
生々しい…そっと触ると、まだ妹の体温が残っていた。
そしてコロンの甘い香り。
「…お兄ちゃん?」無防備に妹は話しかけてきた。
俺は何か音をたててしまったのかもしれない。
「あ、ああ」俺は洗面所で歯を磨き出した。
「悪い、シャンプーとってよ。もうきれてるよ」
俺は、棚を開け、新しいシャンプーを取り出す。
「そこに置いて、出て行って」「分かったよ」
俺は言われるままにシャンプーをドア付近へ置き、
洗面所を出た。ドアはわざと大きな音を出して閉めてあげた。
安全だよとばかりに。
しかし、小窓のスリガラスから、妹の身体のシルエットは何となくわかる。
細いわりには、胸がでかい。顎から首にかけてのラインもそそる。
「サンキュウー」と言って妹は浴室のドアを閉めた。
俺はしたくもない、歯磨きだけして部屋へ戻った。
ベッドに横になり、間抜けな自分に腹を立てている俺。
妹のブルーのショーツ。生温かかった衣類。甘い香り。
そして、あの身体のシルエット…
今日は、俺と妹は二人きり…
今日しかないぞ、と思った時、俺は俺のモノを強く握っていた。