オレとサキは逃げ込むようにショッピングセンターの雑踏に紛れた。電車には乗らず、わざと混雑したバスに乗り込んだ。どこ行きなのかどうでもよかった…人込みの中で手を繋ぎ、汗ばんだサキの指を愛撫した。全身を連想させるサキのなまめかしい指…
川沿いのラブホテル街を…二人は自然に歩いていた。
何もしゃべらない…しゃべったら認めることになる…この犯行を…そんな気がしてた。誰も見てはいないのに…
何かに急かされるような気がして、オレとサキは何も相談せずに空いた部屋のボタンを押した。狭いエレベーターにこだまするサキの吐息…
ぱたん…
部屋の扉を閉めたとたん、安全地帯に入ったような安堵感…もう誰も見てはいない!オレとサキが兄妹なんて、ここなら誰もわかりゃしない!
オレはサキを抱き締めた!サキも震える腕を回して来た。
オレ達は部屋の入口で、しばらく抱き合った。そして控え目にキスした。サキの甘い匂い…柔らかな胸、今オレの全身で、感じている…この世で、絶対にさわれない、触ってはいけない妹の体を今…
無言のまま部屋を見回した。
…ここはラブホテル…目の前には…枕が二つ置かれた大きなベッド…