「……え……」
優貴…!?どうしてちひろちゃんと…
『…光?どぅしたの?…!もしかして…優貴の事知ってるの!?』
心を見透かされたようで、光は動揺しうつむいてしまった。
「…ぇ…と…」
『ねぇっそうなの!?知ってるの!?教えてよ光!!ねぇ…』
その時…
ガチャッ
「やっぱ誰か侵入して来たっぽい。とりあえず部屋でおとなしくしといて」
優貴が部屋に入って来たのだ。
「ゆ…」
『優貴!』
ちひろの言葉で、光の声がさえぎられた。
「!ち…ひろ!?」
優貴は驚いた顔でちひろの名を呼んだ。
『優貴…っ優貴!優貴ぃ…あたしだよ…ちひろだよ!』
ちひろは優貴に抱きついた。そしてなにかに開放されたかのように、大声をあげて泣き出した。
「ちひろ…」
泣き付くちひろを優貴はしそうな顔で抱き締めた。
「…ゃ…嫌…」
そんな二人を見て、耐え切れなくなった光は夢中で部屋を飛び出した。
ズキン…ズキ…
嫌…嫌…嫌…嫌!
やめて…どうして…オカシクナリソウ…
こんな…こんなに…
光はピタッと止まるとヘロヘロと床に座りこんだ。
「ぅっ…うぅっ…なんで?こんな…こんなに好きになってる…痛い…痛い…っ。優貴…優貴ぃ…」
いつの間に…こんなにもこんなにも優貴を好きになっていた。
こんな少しの間で…
痛いくらいにわかってしまった。
「いやぁ…いやぁ…触らないで…やめて…」
今頃二人は…
きっと昔二人は…
愛し合って
触れ合って
私の知らない優貴を
知ってる…。
そう考えれば考えるほどジリジリと何かが焼けていくような…
なのに考えずにはいられない。
コワイ…コワイ…
光は、耳を手でふさぎ、目をぎゅっとつぶり、拒絶するかのように倒れこんだ。
固くつぶられた瞳から淡い涙がゆっくりと、ゆっくりとこぼれ落ちていった。