こうして慎一君と出逢ってから、私は彼と良く会うようになった。
あの後、電車から降りて慎一君の案内で喫茶店に入り、2時間以上も私の話を彼は聞いてくれた。他愛もない話を、熱心に聞いてくれた。それがただ嬉しかった。
私は彼に会う度どんどん惹かれていった。彼と一緒にいるときは、旦那がいることすら忘れかけた。
慎一君と体の関係を持ったのは3度目に慎一君に会ったとき。その日はたまたま旦那と大ゲンカした日で、私は酷く悲しんでいた。慎一君に会いたくて、電話をかけようと思った。そのとき、私の携帯が鳴った。
「梨香さん?今から会える?」
…嬉しかった。気持ちが通じたようで凄く嬉しかった。私はすぐに、うんと返事をして車のキーと財布だけを手に家を飛び出した。車に乗り込んで、エンジンをかけ慎一君が指定した場所を目指して走った。