うだるような夏の日が続き、太陽は狂ったように世界を照らしている。
そんな夏のある日の午後、私と剛は公園に通じる緑の小道を歩いていた。
小道の脇には大きな樹々が立ち並んでいて、私たちはそこからさしこむ光りの束を肌に感じながら幸せなひと時を過ごしていた。「幸せなひと時」といっても歩きながらただ話しているだけのことなのだが。しかしそれが、私たち二人にできる精一杯の愛情表現なのである。
私たちは愛しあっていたが、その事実は世間一般には受け入れてもらえない。
なぜなら私たちは血の繋がった姉弟だったから。