ガチャ…
ドアが開く。そこには…
「…優貴…」
ソコには、ベットで寝込むちひろの姿と優貴がいた。
「はぁぁ…」
少しホッとして、大きく息をつく。もしかして、二人のラブシーンを見ていたかも知れないから。
「光…」
「あ…優貴ゴメン急に入って…ちひろちゃんどうしたの?」
優貴は、ソファから立ち上がると、ちひろの指にはめてあるピンクのハートが中心につけられたオモチャの指輪を外した。
「ゴメンなぁー」
「なにが?」
「ちひろの奴が勝手に屋敷に入り込んだりして。」
「…別に良いよ。優貴のせいじゃないし」
ちひろをかばう優貴に、少し嫉妬する。
優貴はフッ、と笑うと、指輪を上にかかげ眺めた。
「ちひろはさぁ…俺の母親が働いてた病院の患者だったんだ」
「か…患者?」
「うん。ウチの母親、看護師でさ。父親が女作って逃げたから一人で俺の事育ててくれてさ。まぁ…すげぇ忙しかったからほとんど帰ってこなくて。俺めっちゃ寂しくてさぁ…いつも見に行ってたんだ。母さんを」
「うん…。」
今はそう頷くしかなかった。
「まぁ母さん俺の事なんて愛してなかったからさ、バレたら怒られるワケょ。だからコッソリ眺めてたらさ…」
「眺めてたら?」
「…ちひろに会った…その時初めて。」
ズキ…
少し胸が痛む。
優貴とちひろちゃんの出会い…。
「ちひろ病気なんだ。小さい頃から病気で、ずっと入院してた。ある日…」
8歳の頃―\r
『はい大丈夫だよー』
泣きわめく子供をあやす母さんをいつも見てた。
本当は悔しくて、悲しくて、泣きそうだった。僕を愛してくれないのに、何故あいつらには優しいの?
『ねぇねぇっ!ちひろと一緒に遊ぼー!』
それがちひろだった。