次の朝、裕紀は随分慌てて身仕度していた。「やばい!遅刻だ!」大騒ぎした彼を駅まで車で送った。
「ああ、なんとかまにあった!母さんありがとう」
「気をつけて行きなさい」
久しぶりに見る裕紀の爽やかな笑顔…私は彼が電車に乗り込むまで見ていた。
ふと助手席を見ると、…やだ、この子ったら携帯忘れてる…「仕方ないわね」
私は朝の家事を終えて、キッチンでくつろぐ。ヒロ君に、おはようメールだけ送って、返事を待った。彼も講義を受けてるのかも知れない…
ところで、裕紀の部屋は自分で掃除させているけど、きれいにしてるのかしら…気になるけど、触ると怒るから、踏み入らないようにしてる。
今日は忘れ物の携帯を持って行くからちょっと入ってみよう…
と、携帯を手に取ると、ランプが光っている。メールか…
部屋は意外にきれいだった。ここにこもって何してるんだろう…
エッチなビデオでも見てるのかしら…
『ヒロ君、今息子の部屋です。キミならエッチなビデオ、どこに隠す?(笑)』
…机に置いた裕紀の携帯が、また光った… 『受講中ね…また教えてね』ハートを…と。タイミングよく机上の携帯が反応する。
誰だろう…彼女?