最近、２時３時になっても眠れない…。勿論ドアの外は真っ暗、人も殆ど通らない。
「昼寝する癖が付いたからかな…。夜、躯が休んでくれない…。」
一人暮しをしていると独り言が多くなる。私はベッドで読んでいた難しい本をたたみ、全身の写る鏡までそっと歩いた。
私は自分の顔が好きだ。バランスのとれた標準的な顔ともいえるが、１９歳の女子大生にしては少し幼くて、若干オタク系の人に好かれそうな感じだ。声も、人前に出た時の性格も、大人しめで可愛らしいと言われる。別に自分の躯全てに自信があるわけではない。ウエストは細いが二の腕が太かったり、太腿なんかはもう少し細くなって欲しいと思う。ミニスカを穿くと、どうしても授業中など座る時にスカートが上がってきて、実際より２つか３つ幼く見える顔に反したムチッとした脚を教室であらわにしてしまう。男の子が隣に座ったりすると、どうしても視線が顔より脚の方に移され、少し不本意だが。
若干オタク路線の入った妹系好きの男の子に好かれる傾向はあるが、私は至って現実主義であり、そもそもＳかＭかと聞かれると、可愛い外見と普段のキャラに反してドＳ様である。それ程男性経験豊富なわけではないが、「まり子ちゃん」「可愛い」など普段なら「そんなコトないです…。」と有り難く頂く褒め言葉も、Ｓスイッチが入ると赦せなくなる。「御主人様、僕を可愛くして下さい、でしょう？あぁ、やらしい子。自分から擦り付けてくるなんて。」という具合である。
しかし一人で過ごすこんな夜は…肌触りの良い白の下着を上下付けて、鏡の前に立つような夜は…他の娘よりＭっ気が強くなっているというのも否定出来ない。
「…はぁ…っ。あたしの可愛いおっぱい…。一人で見てるだけじゃやだ…。」
Ｍになろうとしているのにどうしても自信家な口ぶりになったり、相手が居て楽しんでくれないと自分も気持ち良くなれないというのは、所詮Ｓという感じだが…。
「…ドアの外、人居るかな…。」
いけない事を、考えてしまう。
小さな鏡を持って、カチャ、と恐る恐るドアを開けた。強気な発言とは裏腹に、情けないくらいドキドキしてしまう。別にこれくらいの一人えっち、誰だってするよ…。するのかな…。なんて考えながら。
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