「カワイイなぁ、何か」
「だろ?」
「なー、あの人誰だよぉ。お前の彼女じゃないだろ?」
「うん、俺の彼女じゃないね」
「誰だよぉ、教えろ」
「姉貴」
「え!?お前、姉ちゃんいたっけ?」
「いないよー、今度出来る」
「今度出来るって!?」
「だからー、兄貴が結婚するんだって」
「じゃあ…兄ちゃんの彼女なんか」
「そうだよ」
「そっかぁ、いいよな〜」
高田は顔を少しニヤ付かせて言った。コイツ、彼女と俺が話している最中に彼女の身体をジロジロ見ていたからなぁ…多分、スリーサイズが判ってニヤ付いているんだと思う。
「エロいよなぁ、お前の兄ちゃんの彼女」
「何でだよ」
「だってよー、B90W54H87だぜ♪たまんね〜、あの身体」
「お前なぁ…」
高田が言ったスリーサイズは間違いがないと思う。俺だって、間近に見ているから判っている。サイズは判らないけど、兄貴が羨ましい。エロカワの彼女と結婚するんだからさぁ。俺、兄貴と彼女が結婚したら…居場所がなくなるんだろうと思う。部屋、出て行かないといけないよなぁ…そんな事が頭を過ぎる。気分的にブルーになった。
「お♪メールだぁ」
高田の声で俺は現実に戻された。
「合コンじゃないけど、飲み会行って来るよ〜」
高田は嬉しそうに言いながら店内を歩いて行った。気を取り直して観たいDVDを探す…お目当てのDVDを見付けて中身を抜き取る。さて、彼女を探すかな。DVDを手に持って店内を歩く…彼女の姿を見掛けて近寄る。カウンターでレンタルの手続きをしてレンタル料を払って蔦谷を出た。
帰り道、コンビニに寄りたい事を彼女に言う。彼女は俺の言う事を聞いてくれた。近くのコンビニに向かって歩き始めた。