翌日。
俺は、出勤途中に優を車で送った。
「また行くね」
すがるように言う優を制した。
「来週、制服届けに行くから」
優は安心したように微笑む「うん、待ってる」
俺をまた罪悪感が襲う。
「優。ごめんな」
「?」
「。。。制服」
ううんっと頭を振り、優が照れる。
エンジン音に気付き、おふくろが玄関から出てきた。「あら優!お帰りなさい」「ただいま」
おふくろが運転席の窓に近づいてくる。
「直人、今日、仕事なの?ごめんなさいね。優が押し掛けて迷惑しなかった?」「いや、べつに」
ドキリ と胸が鳴る。
「クリーニングまでお願いしちゃって、もう、本当に」
「大丈夫だから」
「今日は寄れないの?」
「仕事だよ」
「優、あなたが大好きなのよ。ね?」
悪意ない会話に、めまいがした。
「来週、帰るから」
「そう」
笑みを浮かべて、おふくろと優が並ぶ。車を走らせる。フロントミラー越しに手を振る二人が見えた。
水洗いをした制服をクリーニング屋に持っていくと、露骨に怪訝な顔をされた。当たり前か。若いサラリーマンが、制服を持ってくるなんてありえない。あのピザ屋のデリも二度と使えない。
でも、実家には行かなければならない。避けれない。