東京のとある産婦人科。今ここに新たな命が誕生した。胎児を産み落としたばかりの少女は荒い呼吸をしながら分娩台の上で喘ぎ、足下のシーツは血液混じりの羊水で鮮明な赤に染まっている。彼女はまだ自らの体の発育も未熟な中学生で、妊娠が発覚してから苦労が絶えない日々が続いた。両親には勘当され、学校は退学になった。しかし彼女の産みたいという強い希望と、保護機関の支援によって無事に現在に至ることができた。普通ならそんな彼女を称えるべきだが、周囲の人間は生命の誕生を喜ぶどころか、驚きと軽蔑のまなざしで少女を見ていた。中学生の分際で妊娠とは…と思うのは当然だが、現在では珍しくもなく、何より彼女の意志なので問うべき点ではない。それでも視線が冷たいのは彼女の背後には黒い影がいたためであった。
担架に乗せられた少女が分娩室から運びだされた。分けありのこの出産を取材を企んで、部屋の前で待機していたマスメディアの人々は少女の体を見て驚愕した。180cmは越えていると思われる身の丈、上半身よりやや長い両脚、肉付きの良い下半身、引き締まった脇腹、大きく張り出した大人顔負けの乳房は胸部を覆い、両側の突起からは黄色い初乳が滴っている。記者の一人が目の前に横たわる女体から来る性的興奮と事実による興奮で震えながら呟いた。
「こ…この女性が若干12歳の少女だと言うのか?」
「まるで…」
隣りに居た別の記者も同じように呟いた。「これじゃまるで女神像じゃないか…。突然変異にしてもこれは…」
「突然変異ではないわ。彼女は自力でここまで成長したのよ。」
彼女の主治医が言った。その発言で、周囲の記者は更に濃い疑問の霧に包まれた。